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ARTECOLORGE(アルテカラージュ)代表 外川 裕子(とがわ ゆうこ)さん

今回のインタビューは、ARTECOLORGE(アルテカラージュ)外川 裕子(とがわ ゆうこ)さんにお話を伺いました。


外川 裕子(とがわ ゆうこ)さんのお仕事:
ARTECOLORGE(アルテカラージュ)代表

外川 裕子(とがわ ゆうこ)さんのご経歴:
1974年 マツダ株式会社入社 デザイン部 カラーデザイン担当
      *カラーデザインの基本と全てをここで学ぶ。
      *広島から東京へ転勤となり、外部とのつながりが拡がる
1989年 株式会社Atデザイン入社 カラーデザインチーフ担当
      *あらゆるジャンルの仕事に出合い、中でも韓国現代自動車のカラーコンサルティングで世界が広がった。
1999年 ARTECOLORGE 主宰
      *バブル崩壊で独立を強いられる
      *JAFCA(日本ファッション協会/旧 日本流行色協会)のインテリア・プロダクツ部門専門委員を委託され,現在も継続。(インターカラーの為に組織されたもの)
2001年 DICカラースクール/韓国HUE&Zカラースクール/JR北海道カラースクール講師
      以降現在に至る


ARTECOLORGE(アルテカラージュ)カラーニュース 中川:外川さん、今日はお時間を頂きありがとうございます。よろしくお願いいたします。
外川さん(以下敬称略):よろしくお願いします。
中川:プロダクトカラーに携わっている方へのインタビューは初めてですので、どのようなお話しをうかがえるのかとても楽しみです。まず外川さんのお仕事内容を具体的にお聞かせ頂けますか?
外川:もともとは自動車のカラーデザインを行っておりましたが、最近は自動車や携帯電話等のプロダクツから、テキスタイルや雑貨まで、ありとあらゆるもののカラーデザインを行っております。衣食住のうち、食を除くあらゆるカラーデザインを行ってきました。カラーデザイン以外のところでは、セミナーや講演会を行ったり、企業のコンサルティング等も行っています。

中川:カラーデザインは、どのようなプロセスで行うのですか?
外川:まずクライアントからご依頼を頂いたところからリサーチを始めます。ご依頼内容も漠然としたものから、方向性がある程度見えるものまでケースバイケースです。はじめての場合は、ゼロからリサーチを行い、業界のこと、ご依頼いただいた会社の業界内での位置づけ、トレンドなどを情報収集します。ご依頼頂くということは先方にも何かしら課題や目的、期待があるということですから、それを理解し、課題解決並びに期待以上の提案をするように努めます。リサーチは例えるならば料理の「材料」に当たる情報を集めるということになります。材料が集まったら、次にそれをどう調理するかというのが課題ですね。つまり分析です。ただ単に「赤が流行ってる」「エコが流行っている」という情報を見るのではなく、その背後にある消費者のマインドを理解する事が重要です。できるだけ色々な角度から見る事。そして人と全く違った視点で観れるかどうかがポイントです。人・モノ・行動の3点を観察していると、パターンやライフスタイル、使い方が見え、更に価値観が見えてきます。この価値観を見出す事、私はこれを「マインドリサーチ」と呼んでいますが、この作業がとても重要だと思っています。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:とても奥が深そうですね。分析をした後は、どのような形で提案されるのですか?
外川:まずコンセプトをたてる訳ですが、テーマを決めて、具体的なイメージに落とし込みます。例えば、そのプロダクトを使う方はどのようなライフスタイルをお持ちの方で、どういうシチュエーションで使い、その結果どのような夢が描けるのか、というようなことを、写真や素材等を使ってプレゼンテーションします。つまり言葉を視覚化して、先方にも理解して頂けるような作業をしていきます。

中川:これまでカラーデザインをなさったもので、少し具体的にお話しを伺えますか。
外川:変わったところでは「使い古した素焼き瓦の色をデザインしてください」と依頼を受けたことがありました。土が違うと瓦の色も違ってくる程度の知識はあったのですが、瓦をデザインするのは初めてでしたし、実際使い古したエージングの素焼きの瓦なんて、日本で見た事がないし、私にとって、実物が存在しないんですよ。見たことがないものを提案するのはかなり苦労しました。素焼き、つまりテラコッタは欧米で良く使われていますから、フランスまで調査に行ったり、「風化のし方」や「カビの色の違い」まで調査して、最終的に選びました。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:味が出ていて素敵ですね。それにしても屋根瓦の色を提案するために、カビの種類まで調べられるのですね。
外川:カビの種類によって、色が違いますし、風化のし方も違います。それによって色も変わりますから。造形物は、色・形・素材という3要素で構成されているのですが、中でも色は、誰でも文句の言いやすいエレメントでもあります。それだけに提案に当たっては出来るだけ情報を揃えておく必要があります。

中川:なるほど。ところで、この業界でのご経験が大変豊富な外川さんですが、最初にカラーに興味を持つようになったきっかけを教えて頂けますか?
外川:学生時代にもともとリトグラフやシルクスクリーンといった版画やグラフィックを専攻していたこともあって、デザインをやりたいと思い、卒業後マツダに入社しデザイン部に配属されました。その後、カラーデザインを担当することになり、それがカラーに携わるようになったきっかけです。ですから、色が好きだったからと言うよりは、仕事でご縁を頂いたことがきっかけでしたね。

中川:車のカラーデザインとは、どんなことをされるんですか?
外川:車は、デザインの観点から言うと、エクステリアとインテリアに分かれます。エクステリアは、外側から目に見えるパーツで、ボディ、バンパー、グリル、モール等がありますが、特にボディカラーがメインアイテムで、色の質感が重要です。インテリアは車の内側の色で、インパネやシートの表皮材、装飾パネル等が大きなデザインアイテムですが、この他にも色々な小部品が沢山あります。インテリアはデザイン重視だからといってあまり明るくし過ぎると、それがフロントガラスに映り込み運転する際に大変危険になります。ですから、インテリアの色は安全性を保ちつつ落ち着いた色の中からデザインを検討しなくてはいけません。自動車のカラーデザインは安全性優先でかなり制約が多い為、なかなか思い通りにいかないんですよ。

中川:日ごろ何気なく見ている車の色ですが、カラーデザインを決めるのは実に大変な仕事なのですね。
外川:特に日本は「カラーマッチング」といって、部品と部品の色を合わせる等ディテールに神経を使いますね。欧米の車は、対照的に全体的な統一感を重視しています。車のカラーデザインも国によって考え方に差があるんですよ。

中川:興味深いですね。それだけ日本人の目がシビアなのですね。
マツダでカラーデザインをなさった後はどのようなお仕事をなさったのですか?
外川:Atデザインという会社に転職しました。そちらで自動車のカラーデザインも行いましたが、それ以外にもカーテン、カーペット、床材、ユニホーム、テキスタイル等、様々な仕事を行いました。マツダで実践してきたことを様々なプロダクト等、横に展開していきました。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:その後独立されたのですよね?
外川:韓国のKIAという自動車メーカーのデザインの依頼を頂いた時が独立しようと思ったきっかけでした。その後、現代自動車や自動車部品メーカー、韓国のメガネ財団法人など、ご縁があって韓国からお仕事を頂くことが多くなっています。リサーチした情報を基に、カラートレンドブックの作成も行っています。こちらは韓国のメガネ財団法人の依頼で作成したカラートレンドブックです。
中川:こちらは外川さんが作られたものなのですか?
外川:そうですね。添付しているサンプルは手作りですが様々な素材を組み合わせて作っていく作業はとても楽しいです。私は良く生徒さんと話をする時に「カラーリスト」ではなく「カラークリエーター」になりなさい、と言っています。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:「カラーリスト」と「カラークリエーター」とは何が違うのですか?
外川:一言でいえば、「カラーリスト」は色を扱う人、「カラークリエーター」は色を創造する人です。色を勉強していて知識がある方は多いと思うのですが、与えられた色をマニュアル通りに扱うだけの方がとても多いので大変もったいないですね。情報を自分の目で見て確かめて、それを自分なりに解釈をして、色に新しい価値を吹き込んで、創造し、広げていける人になってほしいと思います。
中川:外川さんがカラーに携わっていて、良かったと思うことはありますか?
外川:あまりにも沢山のプロダクトに関わっているので1つ1つが良い経験でしたので選ぶのが難しいですね。でも、どんなプロダクトでも、そこに関わる人が大勢いて、1つのチームとして仕事をするので、そこの仲間たちとの経験は宝物です。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:素敵な経験ですね。
外川:韓国で仕事をする機会が多かったので、言葉の壁もあるわけですが、カラーという共通の言語があると正しい言葉でなくても伝わるんですね。
あとは、仕事を始めたばかりの頃の話ですが、JETRO(日本貿易振興機構)のツアーに自腹を切って1人で行ったことがあります。当時は海外旅行も高くて、自腹を切って行くのは大変な負担でしたが、自己投資をしただけの価値がありましたね。フリーになってからそこで知り合った方達からお仕事を頂くこともありました。知らない世界を観て、知らない業界の方と接することで、自分自身の世界も広がって行ったと思います。

中川:様々なご経験をされている外川さんですが、今後さらに実現されたいことはありますか?
外川:Atデザイン時代に社長の方から課題を3つ頂いていたんです。「目に見えない色」「飽きの周期」「触感マップ」を調べるというものだったのですが、その中で「目に見えない色」というのが課題として残っています。

中川:「目に見えない色」とは何ですか?
外川:例えば、目が見えない方でも、暖色の部屋と寒色の部屋に入った時に、温度変化を感じるというお話を聞いたことがあります。人は目だけでなく皮膚でも色を感じているんですね。また、「色聴」という、音を聴くと色が見えるという方がいらっしゃるのも事実です。色聴能力のある方の感覚が分かれば、生まれつき目が見えない方にも色を伝えていけるのではないかと思っています。目以外の部分で感じる色について調べていきたいと思っています。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:興味深いですね。他にはありますか?
外川:アジア発のカラートレンドブックも作りたいと思っています。日本には財団法人日本ファッション協会流行色情報センター(JAFCA)がカラートレンドブックを出していますが、民間の会社でカラートレンドブックを出しているのは欧米の会社だけで、アジアではまだありません。トレンドというとどうしてもヨーロッパからの発信が主流になっているので、そろそろアジアから発信してもいいのではないかと思っています。特に色だけではなく、質感も含めたトレンドブックを造っていきたいと思っています。

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)中川:アジア発のカラートレンドブック、是非実現して下さい!楽しみにしています。
最後に、これからカラーの仕事に就きたいと思っている方に向けてメッセージをお願いします。
外川:先ほども言いましたが、「カラーリスト」ではなく「カラークリエーター」を目指してほしい、ということでしょうか。私も試行錯誤しながら手作りで様々な色や質感表現にチャレンジしていますが、なかなか色を創造するということをしている方は少ないですよね。もっと色そのものに触れて欲しいと思います。また目先のことだけでなく、将来的なビジョンをもって、理論にとらわれず新しい表現にチャレンジし、どんどん世界を広げていってほしいと思います。

中川:お話をうかがっていて、私も大変勉強になりました。今後の更なるご活躍を楽しみにしております。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
外川:
ありがとうございました。


【取材後記】

カラーパネルディスカッションにもパネリストとしてお招きし、人気だった外川さん。そのご縁で今回インタビューが実現しました。
私たちのような、プロダクトカラーの分野を知らない素人にも、丁寧にわかりやすくお仕事についてお話しいただきました。
自作されたカラーサンプルやトレンドカラーブックを拝見しながら、自分が見た色を分析し勧めるだけでなく、色そのものを創造するという新たな概念を吹き込んで頂き、インスピレーションを頂きました。


【企業情報】

ARTECOLORGE(アルテカラージュ)

コンセプト:
「色に意味を持たせ、色に価値をつける」

業務内容:
*トランスポーテ-ション(旅客機・船舶・自動車)・家電・雑貨/等のプロダクツ、インテリア関係(インテリアコーディネート・テーブルコーディネート)、ファッション(ユニフォーム)のカラーデザイン・企画*講師、セミナー*コンサルティング

メニュー・サービス・商品:
*トレンド提案(リサーチ・分析)1シーズン(SS or AW) \20万~¥40万
*企画・提案 1プロジェクト(工数 × ¥10000/h)
*セミナー/講演 1時間~3時間 (¥50000~¥100000)スライド付き

所在地:216-0033 神奈川県川崎市宮前区宮崎2-12-1-801
アクセス:田園都市線 宮崎台下車 徒歩3分
営業時間:AM 10:00 ~ 19:0
定休日:土・日・祝祭日
問合先:
  電話 044-854-1690
  FAX 044-854-1690
  メール arteca1020@go2.enjoy.ne.jp
ブログ:色想-色想い色語る-

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